二冊目の本の紹介です。こちらの本も中学受験と関係ないかもしれません。しかし、よくよく考えるとそうとも言い切れません。というよりも受験も人生の縮図のようなところが無きにしも非ず。厚さ4.5㎝の本ではありますが、もしよろしければ一度お手に取って読まれては如何でしょうか。
ケインズ全集17 条約改正と再興
経済学者としてあまりにも著名なJ・M・ケインズが、第一次世界大戦の戦後処理にあたりイギリスを代表して七転八倒しながら奮闘する姿が、彼とその関係者の書簡や書籍を通じて明らかにされます。ただ、この全集の第2集に納められる「平和の経済的帰結」をまず読むことになるかもしれません。
誰しもがケインズのような才能や活躍の場を与えられるわけではないかもしれませんが、誰しもが複雑な人間関係にくじけそうになることはあるはずです。
単なる人間関係の悩みをはるかに超えた絶望を人類が味わった第一次世界大戦。そんな時にケインズは何を考え、そしてどう振舞ったか?
様々な示唆を与えてくれているのではと思います。
本書からの引用
知識について考えられるあらゆる可能な質問に解答が与えられたとしても、われわれの人生の問題は依然としてまったく論じられてはいない、とわれわれは感じる。しかし、その暁には、問われるべき質問は何も残っていないことは明白である。そして、正にこのことが解答なのである。
この難解なフレーズから終章の終わりにむけて一気に著者の主張が展開します。
その結論は皆さんが読まれることを期待しますが、我々はその後の歴史の展開を既に一覧できる地位にいます。ケインズが何を言ったか、連合国がドイツに何をしたか、それらを踏まえたうえで歴史の教科書のページをめくってみます。
すると、我々は、第二次世界大戦の項をそうページを繰ることなく見つけることができます。
ローマがカルタゴにしたことは繰り返さない。
身近にも正にこのことが問われているという場面は少なからずありそうです。
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