前回に引き続きテキストの比較をしてみます。今回はサピックスに引き続き早稲田アカデミーのテキストを考えてみます。下記はテキスト一覧表です。
テキスト一覧
6年生次の国語をまとめると、以下のようになります。
主教材 | 副教材 | 知識教材 | 土日講座教材 | 講習教材 | ||
SAPIX | Aテキスト Bテキスト | 漢字の要 | 土特プリント SSプリント | 講習テキスト | ||
早稲田アカデミー | 予習シリーズ ダブルベーシック | 四科のまとめ 実力完成問題集 | 漢字とことば | NN教材 週テスト問題集 | 講習テキスト | |
日能研 | 栄冠への道 本科教室 | メモリー(ベスト)チェック | 計算と漢字 | 日特テキスト 志望校別テキスト | 講習テキスト | |
四谷大塚 | 予習シリーズ | 四科のまとめ 実力完成問題集 | 漢字とことば | 週テスト 週テスト問題集 | 講習テキスト | |
いずれの塾も、知識や読解の教材を必要十分に用意しインプットを行って、それをアウトプットをしてもらい学習成果を確認する、こうした道具立ては大差なく揃えられている印象です。それでも各社のテキストに差があるように思います。そこを見てみたいと思います。※もし上記に何か抜けや誤りがあればご指摘ください。
早稲田アカデミー教材
ここからは早稲アカのテキストについて、これまでの経験から感じたことを率直に述べていきます。
予習シリーズ
早稲アカは自社制作のテキストはNNを除きなかったと思います。そろそろ自作してもよいかなと思いますが、当面の主教材は四谷大塚の予習シリーズです。
予習シリーズは歴史あるテキストですが、ここ最近でも少しずつではありますが手直しがなされ、進化しています。扱われている文章内容は易しくはありませんし、出題されている問題も同様に平易とは言い難いと思います。ですから、どちらかといえば上位クラスのテキストとして機能していると思います。サピックスと比較しても同様の難易度か場合によってはやや難しい印象を抱くかもしれません。
一般的な受験生の皆さんにとって、このテキストを難なく読みこなすことが目標ではありませんし、付属する問題にもスラスラ解けることも必ずしも必要ではないでしょう。
ただ、サピックスのテキストよりも物語文(文学的文章)は、読み応えがあり楽しめると思います。予習シリーズの名の通り、時間をかけて文章を楽しむことを主眼に予習をしてもよいと思います。
対して、問いは解きにくい作り方が多く見られます。全文を理解してほしいという出題者の意図はわかりますが、受験生はその点を留意して解ける問題を解くくらいで良いと思います。
ダブルベーシック
こちらの教材も表紙とは異なり外注の内容だったと思います。予習シリーズよりも平易な内容で出来ています。文章の長さも短く問いも基本的なものが多く、副教材の位置づけか下位クラスのテキストとして扱われている印象です。
文学的文章も読みごたえがあるものは少なく、予習シリーズと比較すると可もなく不可もないテキストです。ですから、ともすれば毒にも薬にもならぬ可能性があります。
もし有効に使用するなら、問いの扱い方を丁寧に学ぶという目的意識の下に短い文章からポイントを探って問いの答えを導く練習に使うくらいが良いと思います。ただ、四谷大塚の項で詳しく述べますが、四谷大塚の読解メソッドを反映した問いが散見されます。こうした問いは正に練習のための練習の色合いが濃く、もしかしたら邪魔に思えるかもしれません。
実力完成問題集
こちらも四谷大塚の教材です。難易度は前述のダブルベーシックと近似していると思います。つまり、可もなく不可もない難易度でしょうか。どちらかといえば宿題としてこのテキストを用いていくという運用がされていると思います。
このテキストの扱い方も前述に習い、問いの扱いに慣れるために使うのが良いと思います。
講習テキスト
春・夏・冬期講習では、やはり外注のテキストが使われていると思います。直前の冬期講習テキストを見ても唖然とするくらい平易に出来ています。週テストや合不合格などのレベルとかなりかけはなれている印象ですので、講習自体は長期にわたる場合もありますが、このテキストでもたらされる効果はかなり疑問があると思います。
NN教材
早稲田アカデミーの看板講座といっても過言ではないNN講座で使用されている教材について考えてみたいと思います。NNとは「なにがなんでも」の略として知られていますが、受験生もさることながら早稲アカスタッフのサピックスになにがなんでも追いつきたいという気落ちの表れともとれる講座です。
この講座の本気度は、他塾のどの学校別対策よりも高いことは明らかです。首都圏の中学受験界屈指の質と量を誇っているという印象です。主に対象校の過去問を軸にテキストが構成されていますので、テキストの難易度は志望校の出題の難易度に比例することになります。
受験の総仕上げを目指す時期に当たる教材だけに、必然的に過去問を扱うことになるのですが、他塾と比較しての優位点は、その問題分析力になります。つまり、問題自体というよりそのサポート体制が強固であるといえます。たとえば、問題別に難易度が示してあったり、出題傾向が明示してあるなどです。
そもそも志望校別の教材ですから、受験生としてはなんとか頑張ることになりますが、それをサポートしてくれる可能性が低くはないと思います。
まとめ
テキストの質は、NN講座を除き、総じて高くないのですが、教室の運用の仕方によっては大量に同じような難易度の問題を繰り返し解くことにもなりかねません。
受験生側の意識がより一層求められると思います。自分の課題を発見しその克服のためにどのテキストのどの問題を扱ったらいいかを本来は考えなければならないはずです。漫然と塾の先生の指示通り宿題をこなすことはお勧めできない学習環境かなと思います。
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