別記事で「中学受験の首都圏大手塾の費用・時間の比較」をまとめました。そこで費用については形式比較が可能ですが、学習時間に関しては自宅学習時間も含めなければならないと申し上げました。
しかし、これにはどうしても学習内容つまり難易度を考えなればなりません。もちろん生徒の個性が最重要な要素ですが、事情が個々別々な事情で調べ難く、ここでは形式的にみられる点つまり塾の学習内容とりわけテキストを中心に比較してみます。
テキスト一覧
6年生次の国語をまとめると、以下のようになります。
主教材 | 副教材 | 知識教材 | 土日講座教材 | 講習教材 | ||
SAPIX | Aテキスト Bテキスト | 漢字の要 | 土特プリント SSプリント | 講習テキスト | ||
早稲田アカデミー | 予習シリーズ ダブルベーシック | 四科のまとめ 実力完成問題集 | 漢字とことば | NN教材 週テスト問題集 | 講習テキスト | |
日能研 | 栄冠への道 本科教室 | メモリー(ベスト)チェック | 計算と漢字 | 日特テキスト 志望校別テキスト | 講習テキスト | |
四谷大塚 | 予習シリーズ | 四科のまとめ 実力完成問題集 | 漢字とことば | 週テスト 週テスト問題集 | 講習テキスト | |
いずれの塾も、知識や読解の教材を必要十分に用意しインプットを行って、それをアウトプットをしてもらい学習成果を確認する、こうした道具立ては大差なく揃えられている印象です。それでも各社のテキストに差があるように思います。そこを見てみたいと思います。※もし上記に何か抜けや誤りがあればご指摘ください。
サピックス教材
ここからはそれぞれの塾のテキストについて、これまでの経験から感じたことを率直に述べていきます。まずは首都圏中学受験界の巨人であるサピックスから始めます。
Aテキスト・Bテキスト
サピックスの主教材ですが、Aテキストは選択肢などの問題と知識分野を担い、Bテキストは記述問題を主に扱っています。気になる難易度ですが、サピックスだから難しいのではと思うかもしれませんが、他社と比較して決して平易という訳ではありませんというくらいです。これらを一週間のうち5日で扱うとなるとその負担はかなり重くなります。テキストの文章内容や問題は更新されていない印象ですので、サピックスは内容に自身があるのでしょうか。
私はA・Bテキストに分ける意味があまりないように思います。これにより学習の負担もずしっと重くなり、学習効果についても仮に他社のように内容を一元化しても変わらないとも思います。実際に、教室では、これらのテキストを主教材と副教材として役割分担させ、授業で扱う問題数を省いている場合も多いと思います。
受験生の皆さんは、先ず全てをこなさなければ合格できないと思わないでほしいと思います。それよりも、自分のレベルに合った問題を選び、そこにじっくりと取り組むことが出来ればそれでよしくらいでよいと思います。そうでないと、サピックスという波を乗りこなすどころか、飲み込まれてしまうことにもなりかねません。
漢字の要
このテキストは知識分野を扱うものです。知識分野の学習は単調な暗記作業になりがちですから、本音でいえば出来るだけやりたくないと思う受験生も少なくないと思います。だから、出来るだけ合格に必要な最低限度だけやりたいわけです。しかし、この教材の目的は受験に対して盤石の体制をとることなのです。つまり、質・量ともに厳しい構成です。
これも上記テキストと同じことになりますが、10年に一度しか出ない知識範囲はいっそ学習しないくらいの割り切りが出来ないとなりません。そうしないと、毎回の知識学習がうわの空になり、同じことを何度も繰り返すような空虚な学習に陥りかねません。
土特プリント
大問が3題程度で構成されるのが普通ですが、授業で扱うのはレベルにより2題程度になっているようです。気になる難易度は・・・あまり言いたくはないのですが、かなり難しいといっていいと思います。入試の中堅以上難関レベルです。そもそも入試問題を焼き直ししている印象です。
できれば授業内で理解して簡潔し帰宅してほしい教材です。そして、そのまま保管し時期が来たら廃棄という流れが好ましいと思います。逆に、こちらの講座の復習まできっちりしようとする姿勢はお勧めしないということです。
講習テキスト
春・夏・冬期講習の際に配布されるテキストですが、その難易度は難しくはないというレベルだと思います。しかし、問題はテキスト内容ではなく、日程にあります。講習期間は、ほぼ連日で授業が組まれており正直目の前のことをこなすだけになります。
国語は出来るだけ授業内完結主義をつらぬき、自宅での復習などは可能な限りしないのが良いと思います。それでも大きな失敗はないでしょう。
まとめ
サピックスは塾での学習時間が大手塾中で最長です。これに併せて、これまで見てきたように教材に関してもかなりの歯ごたえを感じることでしょう。だから、どうしても自宅学習時間は長くなりがちです。気持ちとしては完璧を目指さないことが重要になると思います。
合格実績の点では他社の追随を許さないように見えるサピックスですが、それがこうした量の学習によるものかは冷静に考えなければなりません。
長くなる予想があり、この記事はシリーズその1としています。次回は他社の検討を行います。
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